2018年10月9日火曜日

ロバの耳通信「子犬のように、君を飼う」

「子犬のように、君を飼う」(09年 大石圭 光文社文庫)

マカオに賭博に行ったバツイチの作家が、マカオで中国人の少女を買いホテルへ連れ帰るとう、「夢」のような物語。ロりの小金持ちがカジノに勝って気が大きくなって、娘のような少女をモノにしようと散財するというただのエロ小説。裏表紙の本の紹介には”異端の純愛”とか”究極の恋愛”とあったが、なんだか違う気がする。見えるのは中年男性の汚らしさやすれっからし売春婦のしたたかさ。その両方共を精一杯美化しようとしている。それができていないから普通に薄汚れた世界が見えるだけの変態小説。
金があれば何でもできるのだろうが、金で買ったり欲に惹かれても純愛の気分は味わえるのだろうか。
エピローグは、少女に一緒に日本で暮らすことを約束して別れ、帰国する飛行機の中。たぶん、思い通りにはいかないとココロの底ではわかりつつも、日本での少女との暮らしの困難さに思いを馳せ、あげくのはては”まあ、なるようにしかならないさ”と、もう忘れてしまおうとしている中年男のズルさの暴露がこの作品のウリなのか。それなら、本編のエロ小説を短く切り上げ、この少女との日本での暮らしと別れを残酷に描いてくれたらいい作品になっただろうと思う。残念。

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