80キロを一晩かけて歩くという高校の卒業行事「夜行祭」を描いたもの。学生時代に合宿の仲間と洗面器を抱えて、町までオデンを買いに行ったことを思い出した。行きは走って行ったが、帰りはオデンや追加のおでん種の大根やら、薩摩揚げなどの袋をぶらさげて月夜の土手沿いの道をいろんな話をしたことを忘れない。多分5、6人くらいだったと思うが、後になり先になりでいろんなことを話した。ずっと先まで白く光った道はいつまでも続くようで、話が途切れると寂しくなって急に饒舌になったり。
「夜のピクニック」の、まだ恋とは言えない好きという気持ちが少しづつ溜まったり、抜けたりの高校生たちの物語は、自分にもこういう時代があったのだと、その頃のことを懐かしみながら読んだ。
同名の映画(06年 邦画)も見た。多部未華子が新鮮で良かったが、配役が役者っぽいのが多かったせいで顔見世のシーンが小賢しく、なんだか不自然なものだった。原作は、軸となる何人か中心に、時間の流れの中で小さなストーリーとともにスポットが当たって行くような、そんな思いでを探るような作品なのだから、多部以外を無名の役者、うーんと役者ズレしていない人たちで固めてほしかったかな。
「月の裏側」(00年 恩田陸 幻冬舎文庫)
九州の水郷、箭納倉(やなくら 柳川がモデルらしい)で起きた連続失踪事件を追いかけるルポライターと元大学教授ほかが得体の知れないモノを追いかけるというスジなのだが、前半はダラダラと不思議なことを小出しされるだけでタイクツする。昔に住んでいた家とか入り組んだ掘割とか懐かしい風景の中に、オトナの愛物語を入れ込んだために、そこに気を取られて肝心の「得体の知れないモノ」の怖さに入り込めない。ここは、キングの「スタンドバイミー」(86年 米)のように主人公を少年たちダケにしてくれたらよかったかな。
「蜂蜜と遠雷」(16年 恩田陸 幻冬舎)
恩田陸の著作のリストを見ていて気付いた。この本、表紙をハッキリ覚えている。書評をチェックしたらピアノコンクールを題材にしたものだと。うーん、それ以上思い出せないのだ。ピアノは好きだし、あらすじを見ると面白そうだし、本屋大賞・直木賞を獲ってるというから話題になったに違いないのだが。話題になった時の本屋で手にとっただけかもしれない。ただ、表紙をこんなにハッキリ覚えているのに、ナカミを思い出せないというのも解せない。読んでないのか、たまたま体調がすぐれないときだったので記憶に残らなかったのか。
頼りのカミさんに聞いてみたら、”アナタ確かにワタシにこの本の話をしてたよ”と。うーん、ついにボケたか、どうしても思い出せない。図書館で検索したら、待ってる人もそう多くはなさそうだから予約するとしよう。
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