2019年1月2日水曜日

ロバの耳通信「さらば、わが愛/覇王別姫」

「さらば、わが愛/覇王別姫」(はおうべっき)(93年 香港・中国)

誰かの感想に”死ぬ前に絶対見なければならない映画”とあったが、私も全く同感。京劇の歴史だけでなく太平洋戦争前後の文化革命、日中戦争など半世紀の歴史を眩しいほどの映像と心揺さぶる音楽とともに学べる。師弟愛、同性愛、嫉妬などのあらゆる愛憎を隠さず、美化することも貶めることなく丁寧に映像の中に綴る。張 國榮(レスリー・チャン)や巩俐(コン・リー)といった名優の力もあるのだろうが、優れた原作・脚本(李碧華)や監督(陳凱歌)や彼らを育ててきた香港・中国の映画への取り組みは、すぐに流行のイケメン男優やアイドルにおもねてしまう最近の映画産業も学ぶべきところが多いのではないか。

46歳で自殺してしまったレスリー・チャンについては多くの人が
語っているし、私も「欲望の翼」(90年 香港)など忘れられない作品も多いが、ここで書いておきたいのが、コン・リーのこと。初めて出会ったのが、図書館の視聴覚ブースでカミさんと見た「紅いコーリャン」(87年 中国)のDVD。本作が初めての監督作品だという張芸謀(チャン・イーモウ)によって作られた赤を強調した映像美と美しくも逞しい中国女性の印象が強く焼き付けられてしまった。これが、私の中国映画への傾倒の始まり。
このあと、動画サイトなどなかった時代だから、レンタルDVD屋に走り、チャン・イーモウ、コン・リーの「菊豆」「紅夢」(90、91年 中国)を借り出し、深夜まで見た。<当時は、新作でなくともDVDレンタル料金はかなりのもので、最も安い一泊二日で借りたのだろう。さもなければ、深夜までDVDを見ることなんか、ほとんどなかった・・>

2 件のコメント:

  1. コンリーの生きるを見て、母は強しと思いました。覇王別姫、見てみます。

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  2. 中国で京劇を見た時に、頼んでいないお茶が出てきました。どういう作法なのか、漸く分かりました。

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