2019年1月9日水曜日

ロバの耳通信 最後まで見ることができなくなった映画「道」

「道」(54年 伊)

初めて見たのはNHKのテレビ放送(71年)じゃなかったかと。乱暴者の旅芸人ザンパノ(アンソニー・クイン)の吹替を小松方正、知恵遅れの女芸人ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)の吹替を市原悦子がやっていたことを昨日のことのように覚えている。ストーリーの哀しさより、セリフのひとつひとつや主題歌(ニーノ・ロータ)が頭を離れなかった。
ヒトは強い印象を受けると、五感のバランスがおかしくなるらしい。独身寮で、そのころ齧っていたギターで主題曲「ジェルソミーナ」を良く弾いていた。ずっとあとにこの映画のDVDを手にいれて何度か見たのだが、ストーリーを憶えてしまうと、次の哀しいシーンを予想してしまい、いつのまにか最後まで見れなくなってしまうようになった。
先日、動画サイトで見つけたが、やっぱり最後まで見れなかった。年を経て、辛いこと哀しいことへの耐久性がなくなってきていることをはっきり意識する。この映画を見ていると、辛いこと、哀しいことは十分味わったから、もう沢山だとワタシの五感が言うのだ。

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