2019年6月2日日曜日

ロバの耳通信「小さな旅 横浜美術館」「犬とペンギンと私」

「小さな旅 横浜美術館」

梅雨が近づく気配を感じる曇り空の日曜日。複数の持病があるワタシにとって天敵は梅雨の季節と寒い日。カミさんも最近時々不調を訴えるようになっているから要注意だ。だから、ふたりとも少しでも体調を保っているときに、やりたいことを一緒にやっておきたい。
ということで、久しぶりに電車に乗って「横浜美術館」に。なんだかいい作品にめぐり合うこともなく、ちょっと残念。コレクション展だから美術館がもっている作品をちょっとづつ見せるよ、って感じでアラカルトをちょっとづつ。しかもこの美術館はもともと現代アートに偏っているから、ワタシの好きな印象派前後の油絵とかの展示はなくて、ワタシは退屈して、スマホで作品の写真を撮っている人たちの背中や頭ばかりを見ていた。カミさんは良い絵があったと満足した様子、よかった。


「みなとみらい」の作り物の街を横切ってから、たくさんの人と一緒に動く歩道に乗って、運河の見えるレストランでオニオングラタンスープ<小さかった!>、タコサラダ<香菜とライムが効いていたが量が少なかった!>、シーフードとチキンのパスタ<フィットチーネがおいしかった!>をひとつづつとってカミさんとシェアして食べ<ふたりとも食が細くなった・・>、帰りは少し遠回りして電車を乗り継ぎ、昔住んでた町の商店街で小さな買い物をして帰った。

家に戻ってあの目の大きな女の子の絵を描いたのは何という人だったっけ、とか、あの日本画の色が良かったねとか、結構イロイロ話をしながら一緒に夕食のミネストローネを作り、お昼もイタリアンだったねと。小さな旅は、結構楽しかった。

「犬とペンギンと私」(17年 小川糸 幻冬舎文庫)

犬に恋してしまった女性の日記。犬はあんまり好きじゃないから可愛い可愛いと書かれてもね。カミさんから、旅日記のところが面白いよとのおススメがあり、犬のハナシは飛ばして、インド、パリ、ベルリンの滞在記を読んだ。著者は結構有名な作家らしい、だから旅行先での美食三昧や人々との交流、それもどこかの大使夫妻とか出版社のアゴアシ付きのサイン会の旅とかの大名旅行、ワタシの旅の体験とは正反対。

ワタシの旅は海外出張のスキマを利用した弾丸、節約の旅が多かった。それでも仕事で海外に出る機会が多かったのは旅好き、外国好きのワタシが恵まれていたのだろうけれども。

出張のあいだに半日のスキマがあれば、荷物を空港やらターミナル駅に預け、バスや地下鉄で美術館、博物館、映画や小説の舞台になったところへ出かけ、ひたすら歩き回った。
食事は屋台のサンドイッチ、フランスパンにチーズかハムを挟んだだけか、新聞紙に包んでくれる三角形の脂っぽいピザ。ルフトハンザは早朝や夜の便は、機内食の代わりにサンドイッチを空港で配ることが多くて、2回も3回も並んで弁当にしたり、オーバーブッキングで「ボランティアはいませんかぁ」に応え、あとの便に変更すると帰りは遅くなるけれど空港で使える食券をくれた。

そんなケチケチ旅を実は楽しんでいたから、小川の旅をすこしうらやましくは思っても、本気で憧れたりはしなかった。<これも、負け惜しみっていうのかなー>ホテルの朝ブッフェで腹いっぱい食べながら、昼食用にパンにチーズを挟んだものやゆで卵を紙ナプキンに包んでそっと持ち出したりなんてことは、小川はなかっただろうなー。

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