2019年6月6日木曜日

ロバの耳通信「ハンニバル」「ザ・ドア 交差する世界」「アークティック」マッツ・ミケルセン

「ハンニバル」(13年~ 米テレビドラマ)

映画の品揃えをぐっと増やしたので見ることが多くなった動画サイト「Gyao」で始まったばかりのドラマ「ハンニバル」から目が離せない。同名の原作(00年 トマス・ハリス 新潮文庫)も映画(01年 米)も既に見ているのだが、素晴らしい脚本のせいか新鮮味タップリ。このテレビシリーズの配役はちょっとない。主人公であるFBIプロファイラー役ヒュー・ダンシーがなんとも暗いだけの役柄から脱しきれずにいるのに対し、ワキの精神科医ハンニバル・レクター役のマッツ・ミケルセンの不気味さ、FBI行動科学課ヘッド役のローレンス・フィッシュバーンのあくの強さは、ふたりをこのドラマの実際の主役にしている。

ハンニバル・レクターは「羊たちの沈黙」「レッド・ドラゴン」「ハンニバル」(米映画)を見た時、アンソニー・ホプキンスが文字通り気持ち悪いほどピッタリ役に収まって、レクター博士はこのヒトしかいないと思っていたのだが、マッツ・ミケルセンのレクター博士もなかなかいい。怪しげなものをナイフとフォークで食べているシーンが一層気味悪い。<ハンニバル・レクターを知るには高見浩訳の新潮文庫がお勧めだが、トマス・ハリスの英語は難しい単語もあまり出てず、情景描写が丁寧でわかりやすいので、ハードカバーの原書を薦める。>

マッツ・ミケルセンといえばワタシには忘れられない映画がある。

SF「ザ・ドア 交差する世界」(09年 ドイツ)だ。庭の奥にあるドアを開けるとそこは、5年前の世界。ドアの向こうで忌まわしい過去をやり直し新しい人生を始めようとする。ああでもない、こうでもないと議論を吹きかけられて、えー、答えはないじゃないかーと不満の残るのが典型的なドイツ映画。考え悩むことを楽しむのがドイツの国民性か。アクション満載のただ面白いという映画とは違い、見終わってからずっと後にいろんなシーンを思い出すことの多かった印象深い映画。薦める。

昔よく訪れたドイツでテレビを見てると、深夜放送でよく古い日本映画をやっていた。映画オタクのワタシも知らない映画が多かった。貧乏な武士がお家のために詰め腹を切らされる話とか、戦争中の突撃命令に逆らいジャングルを逃げ回る話とか、出演者の誰も知らない古~いなんだか理不尽さばかりを強調した映画ばかり。吹替じゃなかったから、日本語恋しさに夜中によく見たものだが、ドイツのテレビ映画もそういう「理不尽な」のが多かった気がする。

「ザ・ドア 交差する世界」もその類だが、眉間に皺を寄せたマッツ・ミケルセンの表情が、いかにもドイツ人なのだが、デンマーク生まれだと。まあ、夜が長い北国では同じか。

マッツ・ミケルセンの新作が「アークティック」(19年 デンマーク)の日本公開は今年の冬だと。飛行機事故で北極にひとり取り残された男のサバイバル映画。セリフほぼゼロだが何もない北極の映像美が、自然の厳しさと孤独を際立たせている。大きなスクリーンの映画館でもう一度見たい。

YouTubeでゲームPS4 - Death Stranding  (Hideo Kojima) にキャラ出演したマッツのインタビューを見た。彼のことがますます好きになった。https://www.youtube.com/watch?v=0otXs1LGcp4


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