「無菌病棟より愛をこめて」(14年 加納朋子 文春文庫)
”急性白血病”との壮絶な闘いを笑いと涙で綴った、人気ミステリー作家によるノンフィク
ション。こういう難病ではないが20年近く持病に悩まされてきたワタシにもいろいろ思うことの多い作品だった。
著者の不運は、急性白血病にかかったこと。幸運は、充分な経済的基盤や優れた医者たち、理想的に型が合致したドナーの弟がいたこと、夫をはじめ優しい家族や多くの友人に恵まれていたこと。本人の強い意志と楽天的とも思える性格。
不運も幸運も、すべからく自分の運命ではあるのだろうが。あとがきで著者が書いている。”病は理不尽なもの。人生そのもののように不公平で残酷”だと。だけれども、”決して絶望するな”と、また、”検診結果の数字やネット情報を気にしすぎて押しつぶされてしまうのではなく、それらと闘う強さと冷静さを少しずつでも育てよ”と。
カミさんに勧められたこの本で、得たものは無限に大きかった。
「我が家の問題」(14年 奥田英朗 集英社文庫)
裏表紙の釣りには”くすりと笑えて、ホロリと泣ける平成の家族小説”とあったが、なにを持って”平成の”なんていい加減なキャッチコピーにしたのかもわからない。09年から11年の「小説すばる」に載せたた短編を集めただけ。テレビドラマ化もされているらしいが、どうもね、話を作りすぎじゃないかと。ひとつ、ふたつを例えば時間待ちの床屋かなんかで読み飛ばすような本か。
カミさんからは、面白かったでしょうと。うん、と答えるしかないけれど、ワタシは半分くらいで挫折。
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