2019年12月22日日曜日

ロバの耳通信「アイリッシュマン」「暗黒街」

「アイリッシュマン」(19年 米)原題 The Irishman

全米トラック運転組合委員長のジミー・ホッファの暗殺犯フランク・シーハンの伝記映画。
アイルランド系の一介のトラック運転手からマフィアの殺し屋になったシーハンをロバート・デ・ニーロ、シーハンの才能を見出しホッファに引き合わせるマフィアの幹部ラッセル・ブファリーノにジョー・ペシ、マフィア幹部でもあったホッファにアル・パチーノの3大ジジイ名優に加え、監督がマーチン・スコセッシの3時間30分の超大作。長編を感じさせない面白さだが、原作はチャールズ・ブラントのノンフィクション小説「I Heard You Paint Houses」(04年)だと(wiki)。映画のモノローグと初対面のホッファとシーハンの会話で”君は家のペンキを塗るんだってな”の問いに、”そうです”という会話のシーンがあるが、”(自分で)家のペンキを塗る”というのは”殺しを引き受ける”の隠語らしい。


シーハンが暗殺されたとされているのが75年だから、そう昔のハナシでもなくハナシの中心は60~70年代か。半世紀前のアメリカの大都会はこうだったのかとか、道の両側に泊まっている車がいわゆるクラッシックカーなのが興味深かった。
この映画で改めて認識させられたのが、イタリアンマフィアがなによりメンツを大切にすることと、マフィア同士の”兄弟”のつながりや家族のつながりの強さ。アイリッシュマンが、イタリアンマフィアとのつきあいで、すっかりイタリアンになってしまうこと。もっとも、デニーロのニヤニヤ顔はそのまま、ギャングの顔なのだが。
この映画で唯一残念だったことが、3大ジジイ名優があまりにも歳をとりすぎていること。晩年のシーンはとにかく、若い頃のシーンはメーキャップが大変だったろうと。若い人をジジイに変装させるより、ジジイを若作りするには限界があるな。

昔、広州交易会に行った際、近くに中国事務所長がいるから挨拶しといたほうがいいよと同僚に言われ、当時中国事務所があった中国飯店に。所長はすこし気難しい感じのヒトだったが、ロバート・デ・ニーロというアメリカの名優に似ていると云ったら、映画とかは殆ど知らないヒトらしく、どんな俳優かと。ググって、俳優の顔をスマホで見せる時代ではなかったから、とにかくいい男ということを強調したら、やたら陽気になって、帰りにお土産まで持たせてくれた。それ以来、その所長とは会っていないが、デ・ニーロを見るたびに思い出す。

「暗黒街」(15年 伊・仏)原題 Suburra

ローマのSubbrraという場所の再開発による利権に群がる、政治家、イタリアンマフィア、ジプシーギャング、聖職者らの入り乱れての抗争を描いたクライム・ノワール。フランスが絡んだ映画にしては、ウイットも何もない真っ黒けのストーリー。ワルモノたちのほとんどは死んでしまうが、最後にボスキャラ「サムライ」をジャンキーの娼婦が始末。たぶん、続編はこの娼婦が主人公になるのかな。脚本が雑なのか、ストーリーに脈略がなく、2時間強はやや長すぎ。
前半で、3Pプレイ中にヤクの過剰摂取で死んでしまう若い娼婦役のコがメッチャ可愛くて、そこだけ2度見してしまった。



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