「アンダーリポート/ブルー」(15年 佐藤正午 小学館文庫)
15章からなる小説の第1章で挫折。洒落たカフェの気取ったセリフ、先の章へのとっかかりが掴めない。まいったな、と。近年、根性がなくなって込み入ったプロットを丁寧に読み進めながら解いて行くーなんてことができなくなっているのは明らかにトシのせい。アタマが固くなっていることを認識。
キレイな本だからこのまま図書館に返すのも業腹だからと、何日か置いて、最初から読み返した。さすがに2回目だとなんとかアタマに収容して、第2章に進んだ。お、なんだこのトキメキにも似た期待感は。食いつきがいいというか、面白そうじゃないかと。それからは怒涛の進軍。いつもの寝る前の読書が長引き、眠れなくなる予感。ムリムリ、途中で止めたら、朝日が明ける前から気になってしょうがない、ということであとは一気読み。オマケの短編「ブルー」は第15章の続きとなっているから、オマケまで。で、気付いたら第1章に戻っていた。ストーリーの全容がわかってしまうと、また第2章からーと、ダンジョン(洞窟探検)ゲームの繰り返しだ。
交換殺人という荒唐無稽なストーリーだから好みじゃないはずなのだが、ジワジワと真綿で首を絞められてゆくような展開は、ほとんど経験のない経験。登場人物が少なく、主人公も脇役も、仕草や性格描写が丁寧だから疲れずに楽しめた。同じ作者で「ジャンプ」「鳩の撃退法」「月の満ち欠け」というのがあると。期待できそう、会えるのが待ち遠しい。知らなかったぜ、佐藤正午。
「家族の言い訳」(08年 森浩美 双葉文庫)
8の短編が良く書けている。作者は放送作家で作詞家だと。文章と著者名から女性だと勘違いしていた。
所詮小説は作り事だと割り切ってしまえばいいのだろうが、あまりに良く書けていてすこしダレる。朗読CDとかで寝る前に聞けば、ココロ打たれたり、涙出たりでいいのだろうが、年を経てねじくれてしまったワタシにはひとつかふたつで十分。巻頭の「ホタルの熱」だけで止めとけばよかった。
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