どうでもいいどころか、読むのに費やした時間に損をしたと感じた
「エキゾティカ」と、哀しみや苦しさに浸ってしまいそうになるも、こういうのだけじゃ耐えられないと感じ、やっぱり避けている
「毒麦の季」。
「エキゾティカ」(10年 中島らも 講談社文庫)
中島らもの個性あふれた小説は、嫌いじゃなかった。そんなノリで読み始めた
「エキゾティカ」だったが、9編の短編は、舞台が中国とかタイであったりの面白い切り口で始まりオチで終わるいわゆる、
「大人の寓話」だ。
旅行雑誌に月替わりで連載されるほどの品もなく、娯楽雑誌の広告ページまでの穴埋めに使われるような話ばかりで、少なくとも書き手は楽しんで書いている。それもお金になるというから、小説家は有名になるに限ると、なんだかバカにされているように感じてしまった。こっちも、図書館でタダで借りたものだから偉そうなことも言えないが、とにかくこういう本にかけたムダな時間が哀しい。
「毒麦の季」(09年 三浦綾子 小学館文庫)

救いのない物語ばかりを集めた短編集。読んだのはずっと前だが、今も忘れることができない
「貝殻」。嫁いだものの子供ができなかったため、亭主が若い女と作った子供を育てるよう姑に迫られ、家を出て死に場を探すうちに列車の中で知り合った知恵遅れの男の純粋さに触発されて死を思いとどまり、新しい生活を始めた女。暮らしも落ち着き、捜しあてた知恵遅れの男はすでに死んでいた。知恵遅れの男が迷い込んだ町で憲兵隊にスパイに間違われて虐め抜かれ、軍隊の服を見ただけで委縮するようになり、ついには死んでしまっていた。この物語と題名の
「貝殻」とのつながりは忘れてしまったが、不条理の繰り返しに胸が痛んだ。
この本、みんなこんな話。暗い話ばかりだったが、これほど不幸じゃなかったと自分の過去と比べ、ため息をついた。
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