2020年1月12日日曜日

ロバの耳通信「パラサイト 半地下の家族」「女は冷たい嘘をつく」「弓」

「パラサイト 半地下の家族」(19年 韓国)

昨年のパルム・ドール受賞作で世界的に話題を呼んだとされるこの映画、今月から日本公開だと。韓ドラオタクのカミさんから”話題になってる韓国映画があるよ、えーっ、まだ見てないの”とけしかけられた。昨日は監督と主演男優が来日して舞台挨拶をしているのをテレビニュースで見た。韓国との関係が縺れていて出口が見えていないこの1年、こんなところからでも解決に向かえばいいと思う。

半地下に住む、貧乏だが仲良しの家族。息子の友人が留学することになり、友人の代わりに大金持ちの娘の家庭教師を引き受けることになる。結局、貧乏家族が家庭教師(息子)、心療治療士(娘)、お抱え運転手(父親:ソン・ガンホ)、家政婦(母親)と、全員がその大金持ちの家に就職。クライマックスは韓国映画らしい暴力と血まみれシーン、ただしコミカル要素いっぱい。スジをカミさんに聞かせたら、そういうハチャメチャさは、是枝裕和監督の「万引き家族」(18年 邦画)みたいだねと。確かに。ただ「パラサイト 半地下の家族」は貧乏人から金持ちを揶揄するとという視点を変えなかったのだが、貧乏人の哀しい話から抜けられなかった「万引き家族」よりずっと面白かった。ただ、嫌韓の時期に、この金持ち憎しの「恨」(韓)国映画、日本でヒットするのかなあ。

「女は冷たい嘘をつく」(16年 韓国)

映画評には韓国2大女優(オム・ジウォン、コン・ヒョジン)の競演とあったが、顔と名前がゼンゼン結びつかないから予備知識なしで純粋にふたりの怖さを味わった。忙しいシングルマザーが突然行方をくらました自分の幼子とそのベビーシッターを探し回り、結局は取り戻すという映画なのだが、この映画、シングルマザー、養育権、不法移民、臓器売買、風俗嬢、パワーハラスメント、嫁姑問題など、実際はどの国でもある社会問題なのだが韓国らしい生々しさで観客に突き付けてくれる。
物語の進行につれてのハラハラは、むしろ積み重なる不条理と怒りに変わってゆき、ハッピーエンドにまとめられても不安が後をひいたまま。結末が分かっても、二度見なんてしたくない。

題名に違和感があって、原題を調べたら「消えた女」みたいな意味らしく、邦題は合ってないと思うよ。

「弓」(05年 韓国)

鬼才キム・ギドク監督作品。いつか見ようと思っていて忘れてしまっていた、そんな映画のひとつ。
舟で暮らす老人と少女の究極の愛の物語。少女役のハン・ヨルムの透明感とイヤラシサがいい。極彩色の婚礼衣装も、純白の初夜の衣装が似合う。セリフも殆どなく、啓示的な画面は感受性の悪いワタシにさえ、何かを感じさせる。時間が経って、また見ればまた別の想いが生まれるかも。

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