年末から正月、毎日いい天気が続いたにもかかわらず、コロナを言い訳にしてにどこにも出かけず。正月料理も、初詣出も、年賀状も全部やめて、規則正しい早寝遅起きで睡眠時間もたっぷり。いつもならこの時期には暴れ出す持病にも、愛想を言っておとなしくしてもらった。うん、こんなに安らかな正月は初めてじゃないかな、とか思いながらカミさんとテレビの前に並んで座って箱根駅伝を見ている。
漠然とではあるが、こんな静かな日々を永く待ってたような気がする。
今年の目標。急がず、怒らず、食べ過ぎを避け、体をよく動かすこと。小さなことにくよくよしないこと。考えすぎないこと。カミさんを大切にすること。
心中を題材にした短編集。裏表紙の”すべての心に希望が灯る短編集”の釣りに惹かれて読み始めたら、どれも切ない、哀しい物語だった。温かいつもりで手を入れたら、結構冷たくて、いつまでも温かくならないそんな物語。三浦しおんだから、みんなオバケが出てくる。怖くはないが、ついて行きたくはない。7編、終わって、もう一度読んで、やっぱりどれも良かった。
昔、坂の上の安アパートに住んでいた。入口のドアはふたつしかなかったから、たぶん2部屋だけだったのだろう、2年くらい住んでいて、朝は早く、帰りは暗くなってだし、休みの日は寝てるか出かけているかだったから、お隣の人と顔を合わせたのも、2、3回だったか。陰気な表情のワタシよりずっと上に見える女性が住んでいたようだ。とにかく、街から外れたえらいキツイ坂の上で周りには何もない寂しいところ。ある夜、目をさまして台所の外のガラス戸に映った光が見え、結構長い時間ゆらゆら浮かんでいた気がして、あああれがヒトダマかなと。存外、遅く帰ってきて、鍵穴を探すお姉さんの懐中電灯の灯りだったのかもと、後から思ったのだが、その時はすっかりヒトダマだと信じてしまって、亡くなったばあちゃんが、都会でひとりで暮らしのワタシの様子をみにきたのかもと。怖がりのワタシがその時怖く感じなかったのはなぜだったのだろうか。
「シンメトリー」(11年 誉田哲也 光文社文庫)
姫川玲子シリーズ第3作の短編集。月間雑誌に掲載の短編を集めたもので、玉石混交。姫川シリーズ第1作でベストセラーになった「ストロベリーナイト」(08年 同文庫)には比べるべきもないか。巻頭の「東京」と巻末の「手紙」は良かった。男の誉田が描く、生身の女姫川。本田哲也はスゴイと思った瞬間。
「草原からの使者」(12年 浅田次郎 文春文庫)
副題に沙高楼奇譚とあって、これが本題の本もあるらしい。架空の会員制高級クラブに集った年寄がとっておきの話を披露するとい設定で明かされる5編の短編集。小心の宰相が出馬を祈祷師に伺いを立てる話やらロンドンの超高級ホテルの会員になってカジノで破産してしまう話やら、さすが名ストーリーテラーだと伺わせる話だった。解説で有川浩に”いちばん好きな”と言わせた最終話「星条旗よ永遠なれ」という下ネタ話が最悪。4勝1敗だから許そう。
文春文庫の良いところは、巻末に100字ほどの釣りが書かれた本の紹介が数ページがついていて、おお、こういう本があるのかと、まあどうでもいいことだが。
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