2020年2月14日金曜日

ロバの耳通信:新型肺炎の最中の「マージン・コール」「ミッシング・ポイント」

「マージン・コール」(11年 米)原題:Margin Call

アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズをモデルにした映画。マージンコールは信用取引で差し入れている委託証拠金の総額が相場変動により不足してしまった場合に追加しなければならない証拠金のこと。

映画では、保持している不動産モゲージの相場が変動したため、追加しなければならない証拠金が投資銀行の資産を上回ることに気付き、顧客が大損するのを承知で売りまくることを決意する経営陣をケビン・スペイシーやデミ・ムーアなど錚々たるキャスティングで演じている。

リストラにあい退社してゆくボスに渡されたUSBメモリーから会社が保有している不動産モゲージの急落を知った若手社員が、上役に相談。上へ上へと報告、結局は、トップの指示で負債を顧客に押しつけ自らと会社の保身を図ることが真夜中に決まる。翌日売り抜けるまでのほぼ1日が描かれているのだが、問題の深刻さや残された時間のなさに脂汗をかく思いが伝わる。私もかって少額ながら株投資をしていて相場の急落でキモを冷やしたくらいの投資経験しかないが、切羽詰まった彼らの気持ちは映画を見るたびに悪夢のように伝わってくるのだ。

もう、何回目になるだろうか、この映画を見るのは。アメリカのリストラの残酷さや経営陣の権限や裁量など、日本の雇われ経営陣との違いなど、見所が多い。いちばん感じるのは、証券会社になけなしの金を預け、セールスマンにアレをどうですか、コレをどうですかと言われるままに投資してきた自らの節操のなさに対する後悔。
新型肺炎ウイルスが日本も席捲しそうだ。高年齢で持病持ちだから肺炎も怖いが、市場暴落で少ない資産がさらに減ってしまうことも怖い。

「ミッシング・ポイント」(12年 米、英、カタール)
原題:The Reluctant Fundamentalist

パキスタン生まれの青年(パキスタン生まれの英ラッパーで俳優のリズ・アーメッド)はアメリカの一流企業に仕事を得て、前途洋々のエリート暮らしを始めたばかり。3.11テロ以降、偏見と差別を受けるようになりアメリカを去る。3.11以降も一流企業にいるのに、周りの進言を無視し、ヒゲを伸ばしたのは矜持なのだろうが、甘い。彼らにパキスタン人やムスリムの見分けなんかつくはずもない。新型肺炎騒ぎの中国人と日本人の見分けなんか、誰にも見分けられないのと同じだ。アメリカではWASP以外は、皆<差別されて当然の>マイノリティーなのだ。
恋人役のケイト・ハドソンがその一流企業の会長の姪という設定なのだが、いくら自由の国だといってもエリートの姪がマイノリティーとの付き合いを許されるなんてことはない。
元エリートも国に帰ってもテロリストと間違えられ行き場を失う。太目でカワイイとはいいがたいケイト・ハドソンのラブシーンくらいか、見所は。

0 件のコメント:

コメントを投稿