2021年9月4日土曜日

ロバの耳通信「外人部隊フォスター少佐の栄光」「西部戦線異状なし」

「外人部隊フォスター少佐の栄光」(77年 英)原題:March or Die

新型コロナのせいで、どこへも出かけられず鬱々としていて見つけたGyaoの古い映画。主演がジーン・ハックマンと知り、懐かしさに見始めたらコレが大当たり。ウレシクて二度見してしまった。

監督・製作(ディック・リチャーズ)、製作(ジェリー・ブラッカイマー)、撮影(ジョン・オルコット)、音楽(モーリス・ジャール)の今では考えられない製作スタッフに加え、配役もジーン・ハックマン、テレンス・ヒル、カトリーヌ・ドヌーヴ、マックス・フォン・シドーほかよくこれだけそろえたものだと感心。映画の黄金時代だったのだと改めて再認識。個性派揃いなのに、誰もが突出することなくそれぞれに持ち味を生かした映画作りは、アイドルの人気に偏りがちな近年の邦画も大いに見習うべきだろう。

映画は第一次大戦後のモロッコ。フランスの外人部隊を率いるフォスター少佐(ハックマン)とモロッコの部族民との悲劇的な戦闘を描いたもので、特にラストのロングショットの戦闘シーンのすごさに圧倒された。あと、未亡人役を演じた当時32、3歳のドヌーヴがたまらなく美しい。学生時代に見た「昼顔」(67年)や、「哀しみのトリスターナ」(70年)の哀しい美しさにまいって、どこかから剥がしてきた映画のポスターは長く自室の壁に。

「西部戦線異状なし」(79年 米・英)原題:All Quiet on the Western Front)

ずいぶん前に見た記憶があり、ストーリーの展開も、大迫力の戦闘シーンも覚えがあったのに。確かモノクロだったよな、とか配役違うな例えばアーネスト・ボーグナインとか出てなかった筈と。結局ラストシーン<鳥に気を取られ塹壕から頭を上げ、撃たれる>が私の見た昔の映画では確かに蝶だったと。読んだ筈の新潮文庫の原作でも兵士が気を取られたのは蝶だったような記憶。

第一次世界大戦時のドイツの若い兵士たちの物語。学校卒業と同時に志願し、訓練所で鍛えられ、過酷な独仏戦線の泥沼の中で死んでゆく。戦争が終わったらこんなことをしたい、あんなことをしたいと語り合った仲間がひとり、またひとりと、足を失い、腕を失い、狂い死んでゆく。青春の記録ではあるが栄光も輝きもない。ただ戦争の不条理さを訴えかけて終わる。


改めて見直した記憶の中の「西部戦線異状なし」は30年公開の米モノクロ映画だった。

こういう作品を見ることができてよかった。若い人に見てほしい。

1 件のコメント:

  1. 西部戦線異状なしは、秦豊吉訳を私も読みましたよ。戦争物なのに、物音のしない場面が多かったような記憶があります。米英合作だと、レマルク作とは趣が違うのでしょうね。

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