2020年6月12日金曜日

ロバの耳通信「ハウスメイド」「下女」

「ハウスメイド」(10年 韓国)

題名とポスターから、大金持ちの家に雇われた若いメイドが、その家の主人に手を出され、というか手を出させて妊娠し、主人の妻に追い出されるスジだろうと予想していたら、まさに想像通り。うーん、こういうのはよくある話なのかな、やっぱり。無理やり堕胎させられたメイドが大邸宅の居間で首つり、焼身自殺するというラストは予想はしていなかったものの、衝撃というほどもなく、ただのグロ感。
大邸宅やら食事やら、韓国の大金持ちって、こんなにすごいのかという驚きはあったが。まあ、ハウスメイド役の女優が美人じゃなうけど妙に色っぽかったからいいか。
イム・サンス監督が”現代韓国の階級問題を正面から描きたかった”と。まあ、キモチはわかったけれど、大金持ちと市井の人々の暮らしの違いなんてどこにもあるものだし、韓国だけが特別でもないだろうに。

「下女」(60年 韓国)

「ハウスメイド」は、「下女」のリメークだというからそっちも見たら、狂気というかとにかく恐ろしい映画だった。作曲家の夫は工場で女子工員相手のピアノの先生。妻は新居のために内職のミシンがけ。娘は身障者で息子はキカン坊。大金持ちの設定ではないから、下女を雇う理由が妻の出産。内職しつつと下女を雇う矛盾はあるが、この映画も「ハウスメイド」と一緒で、あちこちおかしなことだらけだからまあいいかと。下女に言い寄られた夫は下女を抱いた。妊娠した下女は妻の暴力で流産。下女は夫を恨み、夫の息子を殺害。さらに、ネコイラズで下女と夫は無理心中・・・まあ、よくこれだけの愛憎劇を思いついたものだ。モノクロの画面やオーバーな演技は、江戸川乱歩の古い日本映画を見てるよう。こっちの映画の主題は、女たちの愛憎に押しつぶされる男。映画としては「下女」のほうがずっといい出来なんだろう。

「下女」のポスター見ていたら、「ハウスメイド」と同じ韓国語の表題文字。そうなのか、どっちも原題は「下女」だったのか。うん、どっちの女たちも怖いが、世の中怖くない女なんてどこにもいない。

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