「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(19年 文芸春秋社 大島真寿美)
副題を「いのせやまおんなていきん たまむすび」ーと読めば、歌舞伎か浄瑠璃ものかと想像もつく。浄瑠璃作家の近松半二の生涯を描いた作品で、浄瑠璃について全く知見がなかったにもかかわらず、この作品に触発され、YouTubeで浄瑠璃代表作の曽根崎心中を見た。人形の表情が良くて、なんだかこの世界にハマってしまいそうな予感。
全編、大阪弁というのだろうか浪速の言葉での江戸時代の物語だから、タイムスリップし異界に身を置いた感。「半二」が著者大島自らが創作した浄瑠璃の物語の登場人物「三輪」と心を通わせるところに感動した。大島が「半二」を恋しいと思い、「半二」が自分が書いた浄瑠璃本の中の「三輪」を恋しがっている。うん、よくわかる。
ああ、ワタシも小説の中の架空の女の子「青豆」を本気で好きになったことがあったなと思い出した(「1Q84」(09年 村上春樹 新潮社))。誰かを好きになるなんて、結局は自分勝手な妄想の果てのようなものだから、キレイだろうとナマイキだろうと、架空のヒトでもいいのかも。とはいえ、こう書いていて「青豆」に会いたくなってきたから、また「1Q84」を読んでみよう。人恋しくて、誰かに会いたい。
「上と外」(03年 恩田陸 幻冬舎)
崩壊寸前の家族で行った南米でヘリコプターから落ちた兄妹がジャングルでサバイバル。マヤのピラミッドをめぐる青春アドベンチャー。インディー・ジョーンズの世界、恩田陸得意の異次元空間を楽しんだ。
ハードカバー500ページもなんのそので面白かったけど、ラストはもうちょっとなんかあっても良かったんじゃないと思うあっけなさ。まあ、難しいことナシで楽しく読もう。キャスティングが難しいところだけど、映画化されたらいいね。
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