「ドライブ・マイ・カー」(21年 邦画)
カンヌ国際映画祭で脚本賞など各地での映画賞を獲ったとのニュースで、本作の予告編やら批評ブログを横目で見ていたが、ゴールデングローブ賞(旧外国語映画賞)を獲ったとのことで、映画ミーハーとしては我慢できずに動画サイト漁り。試写版で中国語と英語の字幕付き、画面も粗く音響も酷い動画にもかかわらず、満足度は最高。
原作(短編集「女のいない男たち」村上春樹 文春文庫)もいいのだろうが、短編を継ぎ合わせ3時間の長編映画に仕上げたのはやっぱり脚本や監督(ともに濱口竜介)の力だろう。いつもシレっとした無表情の西島秀俊が、この映画の主人公(演出家役)にピッタリはまっていて感心した。妻役の霧島れいか、ドライバー役の三浦透子や劇団員役の岡田将生がそれぞれの個性を活かしながら作品のジグソーパズルにピッタリはまっていて、配役という仕事の重要性を改めて実感。車の中での長い会話やモノローグにも似た手話、劇中劇となる「ワーニャ伯父さん」(チェーホフの戯曲)のセリフなど、いままでの映画でほとんど出会うことがなかったストーリー展開に、世界の映画賞獲得の意味を悟った気がする。この邦画は見逃せないと思うが、昨今のネット小説を原作とした青春モノやアニメ流行りの昨今の映画観客にどう受け入れられるのだろうか。
「母をお願い」(11年 申京淑 安宇植訳 集英社文庫)
韓国のベストセラー本。この本のなかで一番堪えたのは、伴侶をなくしたバカジジイの物語(第三章)。持って行き場のない寂寞感。夜にこういう本を読んではいけないよ。
普通に読み終わって、夜中に昔のことを思い出し辛くなってしまった。亡くなったばあちゃんのこと。あんなに可愛がってくれたのに、ありがとうの一言も返さないうちに死んでしまった。
いま、いちばん怖いのは、カミさんがワタシより先に死んでしまうこと。ワタシが先に死んでしまえばワタシは楽だと思うが、残されたカミさんがかわいそうかなと。
自分で決められることじゃないから、悩んでもしょうがないのだが。
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