2022年4月10日日曜日

ロバの耳通信「CUBE 一度入ったら、最後」「博士と狂人」

 「CUBE 一度入ったら、最後」(21年 邦画)

「CUBE」(97年 カナダ)のリメイク。オリジナルの放映のあと、続編みたいな作品がいくつかでたがどれもゴミ。それだけオリジナルが画期的な作品だったのだろう。「CUBE 一度入ったら、最後」のポスターを見て、ああ、またつまらないリメイクかと馬鹿にしていたのだが、最初に柄本時生があっけなく殺されてしまうシーンが終わってからは、オリジナルのストーリーを知っていても目を離せない面白さ。

”最初に柄本時生が”と注記したのは、この部分が最も陳腐で面白くなかったと感じたから。柄本時生はワタシの好き嫌いを別にしても、多分、才能ある俳優なのだと思うが、こういうホラー映画には似合わない。菅田将暉や無名の子役もなかなかいい演技で、特に岡田将生の表情の七変化は見逃せない。繰り返すが、役に合っていない柄本時生や存在感・表情なしの杏は完全にミスキャスト。友情出演とも違うのだろうが、有名俳優を並べて全体をつまらなくしていることの多い近年の邦画の流行(ハヤリ)からそろそろ抜けだそうよ。

「博士と狂人」(19年 米・英・アイルランド)原題:The Professor and the Madman

オックスフォード英語辞典の編集に携わった孤高の言語学者ジェームズ・マレー(メル・ギブソン)とこれに協力した精神科施設にいる殺人犯( ショーン・ペン)の2人の男のノンフィクション物語。

ふたりの主役のアクの強さを思いっきり楽しんだが、ワキにナタリー・ドーマー、エディ・マーサン、大ファンのジェニファー・イーリー「ゼロ・ダーク・サーティ」(12年 米)ほか)など、芸達者を揃えたのにあまりヒットしなかったのは、辞書編集ノンフィクションという題材の地味さのせいか。

原作も脚本も監督も配役もいいのだろうが。どのシーンも近くで舞台劇を見ているような感動。ことに、セリフの洗練された美しさや、染み入るような一語一語の言葉に感動。文語調の落ち着いた英語も聞きやすかったし、字幕の日本語の素晴らしさにも。<Amazon Prime の字幕は最高の質だと思う> なかなか、こういう格の高さに出会えていなかった。この感動は、カミさんと大晦日の映画館で見たミュージカル映画「レ・ミゼラブル」原題: Les Misérables 12年 英・米)以来ではないか。とにかく最高に楽しめた。



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