「罪の声」(20年 邦画)
まいった。予備知識なしで見始めたたのだが気持ちが吸い付けられてしまった。知っていたのはこの映画が昨年封切られたことぐらい。映画が昔、気になりつつも「よくわからなかった事件」だったグリコ・森永事件を題材にしていて、よくできた脚本だなと。
ストーリー展開から原作は松本清張だと勝手に思い込んでいた。陰のある仕立屋役の星野源が素人っぽい演技ながらも存在感があって、新聞記者役の小栗旬ともどもいい演技をしていた。
2時間半の大作の半分くらいまでみたところで我慢できなくなり、映画についてあらためてググって見て、原作(塩田武士)が週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位、第7回山田風太郎賞受賞(16年)作品で、映画も第44回日本アカデミー賞(21年授賞式)を知った。
何のことはない、半分近くまで映画(動画サイト)を見て、残りを翌日まで持ち越したのは、作品の長さというより、あまりの面白さに一気見をもったいなく感じたから。美味しいものを一気食いせず、半分を翌日に持ち越す貧乏人のサガかとも思うが、ミステリーの謎解きが急速に進む後半は、まさに怒涛の勢いで楽しませてもらった。それが、この「まいった」の意味だ。
こんな有名な役者をチョイ役で使っていいのかと思う豪華配役だが、その誰もが自分の枠を勝手に飛び出さず、映画のクロスワードパズルにピッタリおさまっていたのが良かった。撮影もコマ切れにせず、セリフの間も充分。監督のチカラかな。エンディングの主題歌「振り子」(Uru)も良かったが、劇中の抑え気味の音楽も良かった。こういう映画を作れるのか、日本映画界は。アニメとかアイドルばっかりじゃなかったんだ。
映画は通しでまた見ることにしたが、原作を読みたい。ゼッタイ読みたい。
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