福井晴敏との初めての出会いは「川の深さは」(03年 講談社文庫)だと思う。以降、「Twelve Y. O.」(01年 同)、「亡国のイージス」(02年 同)と読んできて、小説としての面白さもあるが、なにより共感。作品の中で登場人物が「滔々と語る」、国のあり方や危機感などの福井の持論にいつも共感のため息をついてしまう。Amazonのサブスクで福井作品が並んでいたのを機会に、いままで気になってきた作品をまとめ読み。
「終戦のローレライ」(05年 講談社文庫)
全4冊1500余ページの大作だが、一気に読んだ。何冊かの福井晴敏の小説を読み、本作も読みたいと思いつつもジジイになってしまっているから体力的に長編はムリかとチャレンジも控えていたのだが、読み始めたら”怒涛の如く”という感じだろうか。wikiでは”架空戦記”とあるが、架空の部分はわずかで、福井が終戦間近の日本海軍の潜水艦と米軍の潜水艦や各種艦艇との戦いを描きながら、太平洋戦争の歴史と背景を奇譚なく語っていて、強く感動した。感動を伝えたカミさんには”どうせ小説でしょ”と一蹴されたが、小説であろうと、ノンフィクションだろうと、はたまた伝えるほうも事実だと信じて流しているらしいニュース報道だろうと、結局はそれらの中から、自分の思いや感情に似たものを探し出し、感動してしまうのだろう。
長編に疲れたが、読んで良かったとシミジミ。
「人類資金」(13、14年 講談社文庫)
これも全7冊、1700余ページの長編。”M資金”を題材にし、主人公を詐欺師に持ってきて、特に後半はエンターテインメント要素の強い作品でジェットコースター感覚を楽しんだ。とにかく面白かったよ。
「6ステイン」(07年 講談社文庫)
スパイものの小品集。わかったことは、福井は短編が得意じゃないらしいということ。半分くらいで放棄。まあ、全部の作品が自分の趣味に合致してるわけじゃないと独り言。
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