チリのクーデターの際の実話を基にした作品で、ピノチェト軍事独裁政権下で運営された一種の強制収容所「コロニア」を舞台にしている。カメラマンの恋人が逮捕され収容された「コロニア」に入り込んで恋人を助けようとする元ルフトハンザのCA役があのエマ・ワトソン。「ハリー・ポッター」シリーズ(01年~ 英米)のハーマイオニー役のキレイでも色っぽくもないエマ・ワトソンが、この映画では良い演技をしていた。エマはあまり好きじゃないし、ほかのいくつかの映画でも感心するところもなかったから、この映画のエマを見て、お、やるじゃないかと。収容所からの脱出や追いつめられた空港でルフトハンザ機に飛び乗るところなどは実話に裏付けされた強みか、圧倒的な迫力で迫って息を詰めるほど。
もうひとつの見どころは司祭でもある収容所長役のスウェーデンの名優ミカエル・ニクヴィストの悪魔のような恐ろしさ。17年に57歳で亡くなったが、「ミレニアム」シリーズ(09年 スウェーデン)、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(11年 米)などでの渋い演技をワタシは忘れない。
エンドロールではコロニアの収容者や職員らしき人たちが着飾って、満面の笑顔を見せている。映画の中では、これは視察に来た大統領を迎えるシーンで再現されていた。この収容所は教区の名をかりて政治犯などが幽閉され迫害されていただけでなく、銃器をつくったり人体実験の被検体を提供していたと。ナチスの強制収容所に通じるものがある。満面の笑顔の裏には恐怖が張り付いていたに違いない。悪魔がまだどこかにいるような気がする。
「エグザム」(09年 英)
何人かの候補者を部屋に閉じ込め、一種のサバイバルゲームをやるという設定の映画は、治験アルバイトの被験者が過酷なゲームに参加する「実験室KR-13」(09年 米)、閉じ込められて仕事をする従業員がミスをすると酷い目にあわされる「ヘッドハント」(12年 豪)など結構多い。ああ、殺人鬼ジグソウによって密室に閉じ込められ、猟奇ゲームを強要される「ソウ」シリーズ(04年~ 米)もコレにはいるかと思うが、残酷も猟奇もナシで純粋に謎解きを楽しませてくれたのはこの「エグザム」だ。
新薬で業績を伸ばしている会社の採用試験の最終選考に残った8人。採用されれば生涯年棒1億円だと、そりゃ必死になるでしょう。質問はひとつだけ、80分の制限時間内に答えること。8人にメジャーな俳優はいないから、誰が最後まで残るかなんて、配役で想像することなんかもできず、舞台劇のような緊張感を持って最後までみてしまった。タネアカシはやめとく。面白かった(!)
最近、密にアップしていますね。毎度楽しみに拝見しております。映画の予告編を集めて見られる感じで良いです。
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