2019年8月3日土曜日

ロバの耳通信「ザ・ロード」「ザ・ウォーカー」「アイ・アム・レジェンド」「オブリビリオン」

終末期映画の面白さに、自分が破壊主義者じゃないかと疑ってはみるが、落ち着いて考えてみれば、誰も本当のところは知らない事だし、自由なストーリ展開ができる小説や映画の題材としてもってこいなのかも知れない。数えてもキリがないくらいだが、とりあえずお気に入りの4作。なぜか皆、カタカナの題。

「ザ・ロード」(09年 米)

同名のベストセラー小説 (10年 コーマック・マッカーシー ハヤカワepi文庫)の映画化。災害により寒冷化してしまった世界から脱出するため南へ向かう男とその幼い息子。「ロード・オブ・ザ・リング」(01年~)3部作のアラゴルンを演じた名優ヴィゴ・モーテンセンが善良で小心な父親を演じた。先行きの不安に押しつぶされそうになりながらも、息子を気遣う不器用な父親の気持ちが、少ないセリフとともに映像から伝わってきてもどかしくも、哀しい。心に残るいい映画だった、だから原作を読んでみたい。




「ザ・ウォーカー」(原題: The Book of Eli)(10年 米)

デンゼル・ワシントンとゲイリー・オールドマンが出ていて面白くないワケがない。
最終戦争ですべての本が消滅した未来。イーライ(デンゼル・ワシントン)は一冊の本を抱え「本を西に運べ」という啓示のもと意味も分からないままアメリカ大陸をひたすら30年もの旅をする。なんだか、西部開拓時代に新生活を求めて人々が西に向かったことや、三蔵法師が経典を求め、孫悟空らとひたすら西を目指すのに似ている。地球は丸いのに、だ。
街の実力者カーネギー(ゲイリー・オールドマン)は、イーライが本を持っていると信じ彼を襲う。カーネギーが本に固執するところが、やや意味不明のところもあるが、ストーリーとしてよくできている。イーライは実は盲目で(このへん、かなり無理がある。なぜなら悪漢どもを相手にしてメッチャ強い)西の果てのアルカトラズ島で持っていた点字の聖書を文字にし、聖書にする。つまりは世界に唯一残されていたのは点字版の聖書だったという物語で、イーライがサングラスを外さなかった理由もわかる。

「アイ・アム・レジェンド」(07年 米)

元陸軍中佐で科学者のウイル・スミスが荒廃したニューヨークで愛犬サムと暮らし、ヒトが変異したバケモノをヒトに戻すための血清をつくった科学者というレジェンド(伝説)になる。面白いのが、荒廃し無人となったニューヨークでゴルフをしたり、狩りをするところ。愛犬はそばにいるものの、本当の「一人暮らし」に憧れたりして。

「オブリビリオン」(13年 米)

ジャック(トム・クリーズ)は異星人との核戦争の生き残り。異星人との戦いのなか、偶然見つけたおなじく生き残りのヴィクトリア(オルガ・キュリレンコ、なんて魅力的なんだ)と地球の割れ目の非汚染地区でアダムとイブの暮らしを始める。ジャックもヴィクトリアも実はクローンで、もはや人類とも言えないのかもしれないが、ほかに誰もいない緑あふれる湖畔の小屋にユートピアを見出したふたりがなんだか、うらやましくもある。

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