「ザ・シークレットマン」(17年 米)原題 Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House
リーアム・ニーソンがFBI副長官マーク・フェルトを演じた。マーク・フェルトは、ウォーターゲート事件の真相を新聞社にチクってニクソン大統領を辞任に追い込んだ密告者”ディープ・スロート”。ポスターの釣りは”権力には屈しない 相手が大統領であっても”と、ヒーローのような扱いをしているが、映画を見たワタシの印象はかなり違う。融通の利かないFBIのNo.2が、急死したフォーバー長官の後釜になれなかったことを逆恨みして、秘密を暴露することで腹いせーというのがこの映画がウラで最も表現したかったことではなかったか。
FBI内でも人気がなくパワハラしまくりのマーク・フェルトを演じたのが暗い印象のリーアム・ニーソン。不幸な生い立ちから、外で苦労している夫に嫌味三昧のダイアン・レイン。こんな奥さんだったら、FBIのNo.2という要職でも、プール付きの大邸宅に住んでても、そりゃストレス溜まって、どこかにハケグチを求めるだろうと、実直役人に同情してしまった。リドリー・スコットの名前があったが、監督じゃなく製作だと。リドリーらしい切り口はどこにも見えなかったから、看板だけ売ったか。アクの強い官僚(マートン・チョーカシュ、トニー・ゴールドウィンとかほかの映画でもだいたいワルモノ役)が活躍する。面白かったが、なんだか後味の悪い映画だった。
「暁に祈れ」(17年 英仏)
タイでヤクザな暮らしを送っていた英国人ボクサーのビリー・ムーアが麻薬所持で刑務所に入れられ、そこでムエタイを学び更生のキッカケを得るという実話に基づく。辛口で知られる映画批評サイトで96点という高スコアを得た映画ということで多いに期待して見た。ドキュメンタリーだから奇抜なストーリー展開なんかはないが、タイの刑務所は地味に恐ろしい。言葉も通じない途上国の刑務所で、全身入れ墨のキタナイ男たちに囲まれるなんてゾッとする。
主演のジョー・コールは英国では結構メジャーな俳優。監視ロボットを通じて地球の反対側にいて遠距離交際する男女を描いた「きみへの距離、1万キロ」(18年 カナダ)が良かった。同名だが、元イングランド代表でアメリカのプロサッカーリーグで活躍しているジョゼフ・ジョン・"ジョー"・コールは別人。
あのカルロス・ゴーンは拘置所では個室暮らしだったというから、タイより多少はいいにしろ、いままでの王侯貴族のような暮らしだったろうから、そりゃ辛かったろう、同情はしないが。
「暁に祈れ」(原題 A Prayer Before Dawn )、なんだか聞いた気がした。同じような名前の映画とかがあったかと調べてみたら、征戦愛馬譜という副題のついた戦時映画「暁に祈る」(40年 邦画)とその主題歌(伊藤久男)があるらしい。
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