「神と共に」(第一章:罪と罰 17年)(第二章:因と縁 18年 韓国)
韓国で大ヒットしたという2部作だが、日本ではテレビCMの割りに話題にもならなかった。
ストーリーは人命救助中に亡くなった消防隊員と兵士を無事輪廻させるために3人の男女の弁護人が一緒に地獄めぐりをするというもの。地獄には7つのゲート、それぞれにナントカ地獄とよばれているところがあり、それぞれにエンマ大王みたいなのがいて、輪廻に適する(生まれ変われる)かどうかを裁く。悪事や怨みを持っていると輪廻に適さないということで巨大石臼に潰されたり、奈落に落とされたりの無限地獄に。第一章は消防士の地獄めぐりの旅で副題のように罪と罰がテーマ、第二章は消防士の弟(発砲事故で死亡)の兵士の旅では、弁護人たちの遠い過去の結びつき(因縁)が語られ、そして泣かせる。うーん、負けた。
韓国ウェブ漫画の映画化ということと韓国人と日本人の生死感は違うと思い込んで舐めていたら、段々引きずり込まれてしまった。韓国映画の底力は到底邦画の及ぶところじゃないと実感。地獄のオドロオドロしさや、魔物・怨霊・はては恐竜との戦いなどグラフィックの出来が半端ない。配役も韓国映画ではおなじみの役者たち。たくさん見てる割には、名前と顔が一致していないが、監督のキム・ヨンファ、配役のハ・ジョンウ、キム・ヒャンギ、チェ・ジフンなどなど確かになじみの面々。制作としても力をいれたということか。特に、キム・ヒャンギの可愛さがよかった。いま18歳、韓国にはいないタイプ。
「誰よりも狙われた男」(14年 英米)
ドイツ・ハンブルグを舞台にしたスパイ映画。原作は英国の小説家ジョン・ル・カレの同名のスパイ小説(14年 ハヤカワ文庫)。ル・カレらしく騙し騙されのスパイミステリーでとても数行で説明できるものではないからやめるが、ドイツ諜報機関のテロ開発チームリーダー役をフィリップ・シーモア・ホフマン(あの「カポーティ」(05年 米)でアカデミー主演男優賞を獲った米俳優)が好演。結局彼もCIAと組んだ警察に裏切られる格好悪い役(本作が遺作)。スパイたちの顔やしぐさ想像しながら読んだ本も面白かったが、この映画では後ろ暗い過去を持つ銀行家をウィレム・デフォー、テロリストを助ける女弁護士役にはゼンゼン見えないとても色っぽいカナダ女優レイチェル・マクアダムスなど個性的な配役も、音楽も良かった。
ル・カレをはじめて読んだのはワタシが20歳の頃。片っ端から読んでいた新書版サイズのハヤカワノベルスのなかで見つけた「寒い国から帰ってきたスパイ」(64年 ハヤカワノベルズ)、それ以降ずっとファンで「パーフェクト・スパイ」(94年 ハヤカワ文庫)、「影の巡礼者」(97年 同)、「ナイロビの蜂」(03年 集英社文庫)、「地下道の鳩―ジョン・ル・カレ回想録」(18年 ハヤカワ文庫)など今に続いている。どれも薄暗い地下道を歩くような気持ちになる作品ばかりだが、どんなに迷っても出口を見失うようなことにならないから不思議。
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