2019年11月4日月曜日

ロバの耳通信「T-34」「スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜」

「T-34」(18年 ロシア)

捕虜収容所で標的用のロシア戦車の整備を命ぜられたロシア兵がその戦車で収容所を脱出するというとんでもないストーリー展開だったが、史実だと。「鬼戦車 T34」(65年 ソ連)のリメークらしいがストーリーはかなり違うようだ。

ロシア映画らしい勧善懲悪、友情と国家愛の心情はわかりやすく、ドイツ戦車を次々に撃破するシーンの連続など戦時高揚映画の趣もあるが、砲弾が飛んで敵戦車の装甲をかすめるところに派手なCG演出も取り入れた迫力ある戦車戦をたっぷり楽しんだ。配役は誰もなじみがなかったが皆すばらしい演技で、特にドイツ軍将校役のドイツ俳優 Vinzenz Kiefer が秀逸。彼だけはどこかで見たような気がしていたら、「ジェイソン・ボーン」(16年 米)に出ていた。
戦車映画では先にブラッドピット主演「フューリー」(14年 米)を見たが、ドイツ女性と若い米兵の出会いと別れなど不自然で、後味の悪いシーンがいくつも出てきて好きになれなかった。戦車戦の「迫力」では断然、この「T-34」が優っていた。監督の腕だろうが戦車が回転する時「白鳥の湖」(チャイコフスキー)が流れるなど音楽効果も最高だった。エンディングのロシア民謡風の歌も抒情的で繰り返して聞いた。

「スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜」(11年 スペイン)

悪魔憑きの病原菌がヒトを襲うというとんでもないスジの映画「REC/レック」シリーズ(07年~ スペイン)ですっかり有名になったスペイン映画監督ジャウマ・バラゲロが手がけたのがこの「スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜」。題名は煽情的だがストーリーもしっかりした映画で、昔流行ったにっかつの例のシリーズとは出来が違う。
バルセロナのアパートの雇われ管理人が、合鍵を使い思いを寄せる女の部屋に忍び込みベッドの下に潜み、薬で意識を失わせた女に添い寝する。
ストーカーの管理人を演じるルイス・トサールがなかなかいい。ちょっと見は風采の上がらないハゲおやじだが、スペインでは有名な俳優で「マイアミバイス」(06年 米)ですでにハリウッドデビューも果たし「リミッツ・オブ・コントロール」(09年 米)などいくつかの映画で好演しているらしい。主演のルイス・トサールはストーカーされる女の役の女優マルタ・エトゥラとは愛人関係であったと。実に色っぽい。管理人の気持ちもわかる。

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