2022年8月20日土曜日

ロバの耳通信「ヤクザと家族 The Family」「ホムンクルス」

 「ヤクザと家族 The Family」(21年 邦画)

監督・脚本(藤井道人)が34歳、主演(綾野剛)が39歳。だからどうしたもないけれども、こういう時代になったのかと勝手に感慨。調べても原作についての情報が出てこないから、脚本だけしかないのかもしれない。ヤクザ役の綾野の演技は素晴らしかったが、長すぎてダレた。

ヤクザの組長役を舘ひろしにしたから、ヤクザをワルモノにもできないどころか、家族扱いにしてカッコ付けをしたから面白くも何にもない映画になってしまった。父親を亡くしたグレにーちゃんの綾野がチンピラの覚せい剤をかっぱらい、ヤクザに追い回され、ボコボコにされるところがこの映画のヤマで、あとはダラダラと下るばかり。クラブで働く尾野真千子とイイ仲になるが、尾野真千子の役が女子大生だと。尾野真千子の挑むような眼つきは好きだが、女子大生役はないだろう。主役以外の配役が全くイケナイ。


「ホムンクルス」(21年 邦画)では綾野は新宿の公園近くで車上生活をするホームレスを演じていたが、これはなかなか面白かった。こっちの映画は、マンガとはいえ原作(山本英夫「週刊ビッグコミックスピリッツ」(03年~ 連載)もしっかりしているし、監督(清水崇)も脚本(内藤瑛亮、松久育紀、清水崇)も充分推考されていると思われ、映画はこうでなきゃと思わせる作品。

なにより「ヤクザと家族 The Family」と違い、配役に名前ばかり有名な役者を並べる愚を犯していない。ホムンクルスとは”ラテン語:Homunculus:小人の意、ヨーロッパの錬金術師が作り出す人造人間、及び作り出す技術のことである”ーwiki とある。この映画、片目を隠して見ると違うものが見えるという不思議な世界を題材にしたにも拘わらず、ストーリー展開の面白さを殺すこともなく、綾野のキャラを生かした映画作りの成功例だと思う。 

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