「半落ち」(04年邦画)
横山秀夫の同名小説(03年講談社)の映画化。いまにも降り出しそうな寒い午後、CMなしでTV放映されたので。条件の違う原作と映画を比較することはできないのだろうし、特に映画は限られた時間に収められなければならないとしても、アルツハイマーの妻殺しとその裁判だけにに強いスポットを当てたこの作品は失敗ではなかったかと。原作でも充分には語られてはいないが行間から伝わってくる、妻殺しの刑事の心情が置き去りにされているじゃあないか。アルツハイマーが社会問題として大きく取り上げられ始めていた時代だからといって、うーん、ちょっと違ってないかと。「壊れてゆく妻を見たくなかった」と、原作本と同じセリフだけれどもセリフの重みが違うような気がする。
横山の「複数の物語が絡み合って本質に繋がってゆく」面白さが削ぎ落とされ、あらすじだけを舞台に引っ張り出しライトを当てたような田舎芝居は見ていて居心地の悪さを感じた。日本アカデミー賞やら、主演男優賞(寺尾聰)受賞作という。オイオイ、原作者泣くよ。キャスティングもめちゃめちゃ。学芸会のように皆が「良い役で」少しづつでしゃばる。殺された妻の姉役の樹木希林だけかな、良かったのは。
ダメ出しの最後はエンディングの追想シーンと森山直太朗の歌。直太朗は大好きだけれども、脈絡もなく歌が始まり、急に明るい画面に変わったのでCMが入ったのかと思った。帳尻合わせに、こんなシーン入れるんじゃあないよって。
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