「ポーラースター ゲバラ覚醒」(海堂尊16年文藝春秋)
キューバ革命のリーダーだということのほかには、星の印の付いたベレー帽をかぶったイラストが私にとってのゲバラだった。ベストセラー作家がゲバラを描いた4部作の1作目だという。
喘息の発作で「まだ早いよ」と死神に嫌われた幼いゲバラが、ベッド際で両手を組み合わせていた母に、自分のために神に祈っていたのかと聞いた息子に、否と。さらに、どうして神を信じないのかと問うた息子に母は答える。「神様を信じないのではなくて、神さまなんていないと思っているだけ。もしも神さまがいるのなら、世の中に不幸せの人がいるはずがないでしょう?」それでも、母は何かに祈っていたのだ。
啓示的な物語が時間を行き来しながら語られる。まだ100ページをすこし超えたところだが、この本は450ページ「しか」ない。もう4分の1を超えているじゃあないか。なんと惜しむ時間の短いことか。オレンジ色の表紙の本に魅せられている。こんなに、続きを早く読みたいと思ったことは、このところついぞなかった。
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