2024年6月20日木曜日
ロバの耳通信「SPOOKSスプークスMI-5」「スノーホワイト-氷の王国ー」
時間を忘れるほど夢中で見た。イギリスのスパイものが面白いのは伝統か。MI-5英国情報部内にテロリストの内通者がいることを知った情報部員が元部下と共に内通者を突き止めるというスジ。ラストのどんでん返しで、内通者がCIAと結託することでMI-5長官の席を狙う上級職員だったことが明かされるが、それまでは誰がワルモノかわからず、派手さのないアクションとジワジワと真実に迫る英国流の謎解きを楽しめた。
主人公の血の気の多い元諜報部員役にキット・ハリント(「ゲーム・オブ・スローンズ」(米テレビドラマ))、老練情報部員役のピーター・ファースが秀逸のスパイらしさ。さらにアメリカ生まれの英女優ジェニファー・イーリーがいつもの”冷たい表情の上級奥様風”で幹部役で出演していて、楽しめた。普段の英国ではキレイな女性なんかついぞみることはないのにこの映画の配役は皆、揃って美人。皆、女優だから当たり前といえばそうなのだが、現実との乖離が大きいとかなりの違和感。
英国で大ヒットのBBC製テレビシリーズ「MI-5 英国機密諜報部」をもとに作られた映画だというから、オリジナルの動画サイトへのアップロードを待つことにしよう。
「スノーホワイト-氷の王国ー」(12年 米)原題: Snow White & the Huntsman
原作はグリム童話の「白雪姫」。「本当は怖いグリム童話」みたいな本かマンガを読んだ「トワイライト」シリーズのベラ役(08年~))ってゼッタイオカシイ。
記憶があるが、この作品も十分残酷で怖い。主人公の白雪姫役にクリステン・スチュワート(
ダークファンタジーだし最後は継母の心臓に短剣を刺す役だから純潔無垢ばかりの美しいお姫さまというわけにはいかないだろうけど、ゼンゼンキレイじゃない。ディズニー映画の白雪姫のつもりで見ていた方も問題なんだろうけど、同じ年に公開された「白雪姫と鏡の女王」(米)の白雪姫役の英女優リリー・コリンズの輝くほどの美しさとはえらい違いだ。
継母役のシャーリーズ・セロン、この俳優、あまり好きじゃないのだけども、この映画では実にイキイキしていて気に入った。こういう本当は魔女で邪悪な継母役がピッタリ。この役でティーン・チョイス・アワード映画部門「ヒステリー賞」なんて賞を獲った(wiki)とあったけど、わかる気がする。
2024年6月10日月曜日
ロバの耳通信「デス・ウィッシュ」「孤独なふりした世界で」
チャールズ・ブロンソン主演の「狼よさらば」(Death Wish 74年 米)のリメイクで主演がブルース・ウイルス。前作では、小心のブロンソンが妻子が凶悪犯罪に巻き込まれてから、復讐心から銃を手にしタフガイに変化してゆく様に共感と喝采を送ったが、本作のブルース・ウイルスは外科医の設定ながら、最初から強面。犯罪で妻を失い、娘が瀕死となった父親が犯罪者を憎み狼に変わって行くーという一番いいところがまるで伝わってこない。
不死身(「ダイ・ハード」)のブルース・ウイルスを主演に持ってきたのはミスキャストだと思うし、ブルース・ウイルスはもはやパクリみたいなリメーク作品に出るほど窮してるのかと幻滅。犯罪が減っていないアメリカ大都市の社会問題提起なのか、自警団推奨が主題なのか、ただのアクション映画なのか。どっちにしても薦められない映画。
「孤独なふりした世界で」(19年 米)原題:I Think We’re Alone Now
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ほぼ照明がなくなった町、ふたりになってからもセリフは殆どないから、押し包むような孤独感は半端ない。
大好き終末世界サバイバル映画。無人のスーパーで値段も見ないでカートにポンポンと食糧などを放り込むなんて、結構あこがれていいて、まあ、多少のお金ならあるし、近所のスーパーで一度やってみたいとも思うのだが、タダでもらうのとお金を払うのは気分がちがうだろうな、と。
2024年5月30日木曜日
ロバの耳通信「ミッション・ワイルド」「マイ・ブラザー 哀しみの銃弾」
トミー・リー・ジョーンズの主演・脚本・監督でリュック・ベッソン製作、面白くないワケがないのだが、なぜか日本では劇場未公開らしい。
Homesmanとは、開拓地で暮らせなくなった移住者を出身地に連れ帰る仕事を請け負う人。こういう救済システムみたいなものは実際あったらしい。教会が中心になってたようだ。
時代は南北戦争直後の西部。この映画では、開拓地の暮らしの中で精神を病んだ3人の女を馬車で約400マイル離れた教会に届けるというこの割の合わない仕事を引き受けた未婚の女(この時代ではオールドミスーヒラリー・スワンク)と、この女に雇われた流れ者(トミー・リー・ジョーンズ)が主人公。4人の女とひとりの男が哀しい。誰にも愛されないこの未婚の女の孤独は若い頃からモテることのなかった私には多少わかる。だが、3人の女の不幸はさらに酷い。ちょっと具体的にはココに書けないほど酷い目に遭って狂ってしまっている。演技とはいえ、女の狂ったのは怖い。
面白い役だったのがメリル・ストリーブ演じた、受け入れ先の牧師の妻。ひとことで言えばノー天気。この孤独と不幸続きの2時間の映画の終わりでつくり笑顔を見せられてもね、ゾッとしてメリル・ストリーブがより嫌いになった。
「マイ・ブラザー 哀しみの銃弾」(13年 米仏合作)原題:Blood Ties
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物語は7年の服役後出所した男が、身内や前妻にも歓迎されず、再び悪の世界に身を落としてしまう、と、まあよくあるハナシ。
クライム映画はキライじゃないが、どうもこうウジウジしたフランス浪花節はどうもね。2時間半も待たされての終わり方もスカッとしていないし。
2024年5月15日水曜日
ロバの耳通信「INFINI/インフィニ」「アンロック/陰謀のコード」
「INFINI/インフィニ」(15年 オーストラリア)原題:Infini
原題は惑星の名前。そこにはエネルギー源となる鉱石があり割りのいい採掘の仕事があるが、行くにはスリップストリームという位相空間移動じゃないといけない。空間移動は人によっては狂ったり死んだりすることも。
鉱石が人間を狂わせる生物に汚染されていることが分かり、鉱石を自動転送するシステムを停止し、現地の技術者を連れ戻すための部隊をイニフィニに派遣することに。空間移動とか、鉱石そのものが生命体で、派遣されてきた人々の細胞を吸収することで成長するとか、SF映画らしい突拍子もないスジだったし、途中ダラけたが、まあ面白かった。
同類の「エイリアン」シリーズ(79年~ 米)みたいに、最後に続編を示唆するラストがあるかと期待したのだが、なーんにもなし。残念。
「アンロック/陰謀のコード」(17年 英・米合作)原題: Unlock
CIAとMI6、イスラムテロ集団、三つ巴のスパイアクション映画。スジはどうでもいいがキャスティングがすごい。映画は「完落ち」の意味。監督はマイケル・アプテッド、出演のノオミ・ラパスは好きな女優じゃないから(個人的に置いておいて)マイケル・ダグラスとかジョン・マルコビッチとか重鎮をいい役に配置。オーランド・ブルームなんぞは役もはっきりしないチョイ役扱い。これだけ役者を揃えると、製作陣も脚本も製作費も半端じゃいけないのだろう、おかげでスピード感のある面白い映画になった。
きわめて個人的な感想を書くが、ノオミ・ラパスのキシャな体と表情のなさは、スパイアクションの主役じゃない。
2024年5月5日日曜日
ロバの耳通信「テイキング・オブ・デボラ・ローガン」「ファースト・キル」
「テイキング・オブ・デボラ・ローガン」(14年 米)原題:The Taking of Deborah Logan
アルツハイマーだとみられた老女が実は悪魔憑きだったというとんでもないハナシ。
事前チェックなしで見始めたオープニングではアルツハイマー病の記録フィルムを使っているとのテロップが流れ、「X-Men」シリーズ(00年~ 米)、「ボヘミアン・ラプソディ」(18年 米)など多くの有名映画の監督ブライアン・シンガーの作品だったし、テレビシリーズ「Dr.HOUSE」(04年~ 米)で、疾病を解説してくれていたので、アルツハイマー患者を扱った、結構ハードルも高いドキュメンタリー作品だと思っていた。事実、映画のスタート部分は、アルツハイマー症状で老女が奇行を繰り返し、明日は我が身の認識もあったのでそのつもりで見ていたのに、実はとんでもないオカルト・ホラー映画だった。アルツハイマー病を悪魔憑きと結びつけるなんて、どうかと思うよ。この映画、ワタシが大嫌いなヘビがたくさん。それだけでも腰が引けてしまっているのに。とにかく、誰にでも訪れる老いと悪魔憑きを一緒にする感覚は許せん。
「ファースト・キル」(17年 米)原題:First Kill
学校でイジメに遭いメゲてしまった幼い息子と、故郷の田舎町で一緒に狩りをすることで親子の絆を修復しようとする若い父親のヤング・エグゼクティブ(ヘイデン・クリステンセン)の物語。ヘイデン・クリステンセンは「スターウォーズ」シリーズ(02年~ 米)でアナキン・スカイウォーカーを演じ、散々こきおろされた軟弱男。極悪な町の保安官を演じた町の保安官役のブルース・ウィリスとは存在感が違う。ストーリーは、混み入っていて説明ももどかしいが、結局軟弱男が敵をやっつけ、息子との絆を取り戻すというハッピーエンドなんだけけれど、いまいち共感できないのはなぜだろう。ライフルを撃たせたり、父親の強い姿を見せられても、帰ればイジメは続くだろうし、父親は相変わらず家庭を顧みないだろうし。父と息子へのこだわりをアピールしたかった割りには父親の強さが見えてこないし、これだけ母親の存在感のないアメリカ映画もは珍しい。本国アメリカで公開されていないのは何故だろうか。やっぱり、面白くなかったんだろうな。
2024年4月20日土曜日
ロバの耳通信 「ファインド・アウト」「パーフェクト・ルーム」
「ファインド・アウト」(12年 米)原題: Gone
ジツのところ、アマンダ・セイフライド(「レ・ミゼラブル」(12年 米)コゼット役)が好きじゃない。嫌いなのはあの目かな。だから、誘拐モノ、犯人捜しの本当は面白い筈のストーリーも、アマンダの顔見てるだけでイライラが募るだけ。じゃあ、見なければいいのにという考え方もあるが、見始めたら最後まで見なきゃならない貧乏性。主人公のアマンダを全く信用せず、妹の失踪を妄想だと片付けてしまう刑事の気持ちのほうにより、共感。
当時、アメリカで社会問題とされていた、女性の誘拐事件の多さがこの映画のテーマらしい。ラスト近くで、犯人は主人公に殺されてしまうが、スッキリしない終わり方に余計、イライラ。
「パーフェクト・ルーム」(14年 米・ベルギー)原題:The Loft
これが文庫本だと、主な登場人物を紹介したリストがあるし、韓国ドラマとかはあらかじめ顔写真つきの人物相関図を準備して見始めるのが常。
よくそれで長くビジネスマンやってたねといわれそうだが、自分なりの工夫をしていたんだよ。自分にとって重要な人との初対面の際は、手帳に日時、氏名のほかに、推定年齢、簡単な似顔絵、似てる有名人など、その人を特徴付け、記憶するためのメモを書き込みしていたね。ハナシの途中で聞きだしたその人の趣味なども。
見終わった「パーフェクト・ルーム」も、結局犯人が誰だったかも良く憶えていない。そんな記憶力だから、映画や本は何度でも楽しめるし、レンタルビデオ・DVDの時代は同じものを2度も3度も借りてきて、家族に良く笑われた。
2024年4月10日水曜日
ロバの耳通信「ジュピターズ・ムーン」「Mr.& Miss.ポリス」
「ジュピターズ・ムーン」(17年 ハンガリー・ドイツ)原題:Jupiter holdja
ハンガリー国境で撃たれたシリア難民の少年が空中を浮遊する能力を手に入れ、それを利用し金儲けを企む医師。医師は医療ミスで多額の賠償金を求められていたというスジ。突然の体の変化で戸惑う少年と欲丸出しの医師の旅。暗いイメージのハンガリーの病院と病気を早く見てもらいたいと押し寄せる難民たち。何を示唆していたのだろうか。少年の戸惑いも医者の失意と欲望もなんとなくわかる。少なくとも楽しい場面や和むところもないから、娯楽作品でないことはわかる。映画の終わり方も放り出すような感じ。戸惑いと暗い気持ちだけが残った。ポスターは目を引くが、勧められる映画ではない。
「Mr.& Miss.ポリス」(14年 米・ロシア)原題:Black Rose
舞台はロサンジェルス。連続して発生しているロシア女性の殺人事件の捜査が進まないことに業を煮やした警察幹部はロシアから捜査員を呼ぶ。ロシアから来た特殊部隊出身の捜査員が、プロファイラーのネェちゃんと組んで大活躍。ひどい邦題はココからきているのか。原題の Black Rose は殺されたロシア女性が咥えさせられていたバラ。映画は粗っぽいツクリで、見るに堪えないどうしようもない作品だが、渡米したロシアの捜査員を出迎えたロサンジェルス市警の刑事が街を案内、大都市の光と影を説明し、浮浪者とゴミだらけの街を見せるシーンが良かった。B級映画でもなにかの思いを込めたところ、矜持みたいなものを確かに感じ取ったよ。
シュワちゃんがロシアンマフィアを退治にシカゴに乗り込む「レッドブル」(88年 米)で、安宿のテレビ番組をチラ見して”キャピタリズム(帝国主義)”と吐き捨てるように言ったセリフを耳にしたときと同じ気持ち。
2024年3月30日土曜日
ロバの耳通信「42 〜世界を変えた男〜」「マイル22」
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映画では、球団の会長(ハリソン・フォード)が繰り返される差別にキレそうになったロビンソンに、活躍することだけが差別に打ち勝つ方法だと諭すところがでてくる。なにかおかしくないかその考え方。頑張らなければ普通に生きることさえできないなんて。
映画は麻薬。だから、辛い思いにさせることは決してない。でも、いくら努力しても差別の壁を乗り越えることができなかった、という悲しい作品なら、少しは社会を変えることができるのじゃないか。万にひとつのサクセスストーリーを明るい映画にして夢を見せてくれても、能天気に生きられるわけがないのだから。
「マイル22」(18年 米)原題:Mile 22
マーク・ウォールバーグとインドネシアのアクション俳優イコ・ウワイスが主演のスパイもの。インドカーというアジアの仮想国でスパイを亡命させるため空港までの22マイルを護送するCIAエージェントが活躍するというスジなのだが、三重スパイとかまであるから、誰がテキかミカタかグッチャグチャ。
個人的には好きじゃないジョン・マルコヴィッチがいい役で出ていたから実はこいつが悪のボスじゃないかと予想していたが、ラストにあっけなく殺されてしまって肩透かし。
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ちょうどこの映画の前に「ナチスの墓標 レニングラード捕虜収容所」(06年 ロシア・英)というつまらない映画でジョン・マルコビッチがワルのロシア将校役やってて、余計に印象悪かったからか。
まあスジなんかどうでもいいやの感で不死身のマーク・ウォールバーグのドンパチを満喫。
2024年3月20日水曜日
ロバの耳通信「レッド・ダイヤモンド」「ロスト・レジェンド 失われた棺の謎」
大好き英女優クレア・フォーラニから逆引きして動画サイト見つけたクライムアクション映画。おぉ、ブルース・ウイルスも出てるじゃないかと手をたたき、雨の日のひとり映画会で見るのを楽しみにしていたのに、なんだ、この映画は。派手なカーアクション、ボートアクションにドンパチ。でも、それだけじゃね。うーん、こんなに中身のない映画、久しぶり。クレア・フォーラニもこの時もはや44歳、疲れ顔のシワが目立ち、しかも妊婦役。ブルース・ウイルスもアクションなしのにやけ顔の悪のボス。
映画批評サイトRotten Tomatoesの評価は”ゼロ”だそうだ。トマト評と意見を異にすることはいつものことだが、この映画の零点に合意。落ち着いた雨の日の午後、こんな映画に使って損した。
「ロスト・レジェンド 失われた棺の謎」(15年 中国)原題 鬼吹灯之尋龍訣
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主役ではなかったがファッションモデル出身のアンジェラベイビー(楊穎)の可憐さにまいった。あー、ほかはどうでもいいと思うくらい可愛いかったから、雑なストーリーも、目立ちすぎのコメディアンのために感じた猥雑さとかも、すべて許す。
「封神伝奇 バトル・オブ・ゴッド」(16年 原題:封神傳奇)にも出ていたし、中国テレビドラマ「雲中歌〜愛を奏でる〜」(15年)、「孤高の花 〜General&I」(17年)でも。若い頃のオードリー(ヘップバーン)にも通じる美しさがいい。
2024年3月10日日曜日
ロバの耳通信「セイフ ヘイブン」「誘拐の掟」
「セイフ ヘイヴン」(13年 米)原題:Safe Haven
映画の中のジュリアン・ハフにひとめ惚れしてしまった。バレンタインデイに合わせ公開された、甘々の恋愛映画。ふだんはあまり見ないこの手の映画だが、原作が「きみに読む物語」The Notebook(04 米)で大当たりしたニコラス・スパークスということで。ストーリーは子連れの男が出会った女と仲良くなるが、女は殺人罪で指名手配されていたというストーリー。出会いのシーンやこもれびの湖をボートでめぐるところなんてありきたりだが、ジュリアン・ハフの表情がたまらない。
ため息が出るほど美しいのだ。このあといくつかの映画でジュリアン・ハフをチェックしたが、なんだか。
「セイフ ヘイヴン」で、ジュリアン・ハフのとびっきりキレイな時を、名カメラマンが撮ったーというのがワタシの感想だが、結局この映画、ジュリアン・ハフのお気に入りの表情を見るために何度も見た。
ジェニファー・アニストンが気に入って、「すべてはその朝始まった」(05年 米)を何度も見た時の事を思い出した。
「誘拐の掟」(14年 米)原題: A Walk Among the Tombstones
ミステリー映画のデキは原作で決まる。元刑事で今は私立探偵だというクールな主人公なんて、ハードボイルド小説のステレオタイプ。原作はローレンス・ブロックの「獣たちの墓」。主人公探偵マット・スカダー役のリーアム・ニーソンはあんまり好きじゃないけれど、監督・脚本(スコット・フランク)に助けられたか、渋い作品に仕上がっている。はやりのCGや派手なドンパチに食傷している昨今。こういうジミな映画で寒い日のホーム・ステイも捨てたもんじゃない。
2024年2月29日木曜日
ロバの耳通信「1944 独ソ・エストニア戦線」
「1944 独ソ・エストニア戦線」(15年 エストニア)原題:1944
第二次世界大戦で占領軍ドイツ側とこれを迎え撃つロシア側の二手に分かれ、同じ国の国民たちが殺し合うことになってしまったエストニア兵士たちの物語。初めてのエストニア映画だったが、画像はキレイで音楽もピッタシ。なにより、誰も知らない俳優たちが、演技なのか天然なのかの想像もつかないがなかなかソレらしい兵隊たち。気負わず自然で、怒ったり悲しんだりの”彼ら”に親しみを感じるのだが、みんなあっけなく死んでゆく。喪失感が半端ない。
塹壕の中を走り回るシーンが多く、さっきまで攻略サイトを見ていた戦争ゲームのCall of Dutyを思い出した。ゲームのように不死身のヒーローは出てこない。主人公がいないから丸太を断ち切るような終わり方。悲しみだけが残った。
エストニアについて全く知らなかった。大国に挟まれ同じ国の人々が殺し合ったという歴史を知って、朝鮮戦争やベトナム戦争を思った。
香港でも、ミャンマーでも同じことが起きている。
2024年2月20日火曜日
ロバの耳通信「UKコネクション」「レジェンド 狂気の美学」
「UKコネクション」(15年~ 英)
邦題の付け方に感心することもあるが、この邦題は”意味わからん”の極み。
50年代の英国で活躍(?)していた実在のギャング、クレイ兄弟の伝記映画で「伝説の幕開け(15年)原題:The Rise of the Kraysと「狂気と破滅」(16年)原題:The Fall of the Kray の前後編からなる。実際の兄弟はかなりのワルだったらしいが、ケヴィン・レスリーとサイモン・コットンが冷徹レジーと狂気ロニーの一卵性双生児の兄弟を演じていて、例の鼻にかかったキングス・イングリッシュといつもきまっているスーツ姿がメッチャ格好良くてまいった。
<ふふふ、実は英国かぶれなのだ>
ワタシは学生時代の英語教育を読み書き中心の日本人英語だけで育ち、仕事でアメリカ英語に少し慣れた40歳後半に、香港生まれの英国人の個人教師について半年くらい本格的に”英”会話を学んだことがある。年下の英国人から、ワタシの通じればいいやの俗語だらけの米語のひとつひとつを細かく言い直させられ、なによりも会話するときは正面からメを見て、語尾までキッチリと100%通じたと確信するまで話すこと。良く分からなかったら、曖昧にニヤニヤせずに、こういうことをあなたは言っているのだねと言い方を変えて、相手に確認することで、聞き取りと話す力を付けることを学んだ。最もタメになった半年間だったとおもうが、何とかは易きに流れのたとえのように、その後のアメリカ暮らしで、すっかり元の、”通じればいいや”に流れてしまった。たまにBBCドラマとかを見ていると、その香港生まれの英国人をなつかしく思い出す。
大ファンのトム・ハーディーが一人二役でクレイ兄弟を演じている「レジェンド 狂気の美学」(16年 英)も好きな映画だ。トム・ハーディに狂気を演じさせたら無敵。「ヴェノム」(18年 米)なんか、最高だね。映画そのものはコミックの焼き直しだから、まあつまらないのだが、トム・ハーディの狂気は良いよ~。
悪人に憧れても、実際はハエ一匹も良心の呵責なしに殺すこともできない小心モノのワタシは映画のなかでワルになり切り白日夢に酔いしれる。
2024年2月10日土曜日
ロバの耳通信「沈まない三つの家」「福福荘の福ちゃん」
離婚するからどっちと暮らすか決めろと告げられた姉妹(神田家)、自転車のカギを失くしたため父親に迎えを頼んだがその父親が途中で事故を起こし死んでしまったため、母親に”あんたがわがままを言わなければ・・”と責められた女子高生(相模家)、スマホに夢中になり目を離した隙に幼い息子を川で失くした母親(最上家)-の三つの家の物語を描いている。それぞれに重い物語で、十分悲しいのに三つの物語を行き来しながら川を中心につないだだけの脚本だからか、感情が長続きしない。悲しさは浸るからより感情が高ぶり感動につながるのだ。オムニバス映画や短編小説集は、かなりの名作でも振り返ってみても感動したのはひとつかふたつ。
「沈まない三つの家」はどれも悲しい物語なのだが、充分に浸れなかった。
「福福荘の福ちゃん」(14年 邦画)
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エンディングにつながる挿入歌「出発の歌」(上條恒彦と六文銭)が懐かしく、滲みた。
2024年1月30日火曜日
ロバの耳通信「LOOPER/ルーパー」「ラスト・ガン 地獄への銃弾」
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お気に入りの映画を場末の封切館のタバコの煙とエアコンの音、はたまた通路奥のトイレから流れてくる怪しげな匂いと一緒に一人で見てる感覚だ。映画好きにしかわからないか、まあ、いい。
とにかく、この映画はタイムトラベルを題材にしているから、一度見たくらいでは辻褄が合わないというか、スジを貧弱なアタマで整理できていないから、何度も見て矛盾の少ないマイストーリーに脚色しながら見る必要がある。もちろん、ストーリーは最高に面白い。ワタシが請け負う。出演は細いネクタイがメッチャ似合うジョセフ・ゴードン・レヴィット(「スノーデン」(16年 米))、ワンパターンの演技ブルース・ウイルス、メッチャ色っぽいエミリー・ブラントとか、(知らないけれど)すごい演技だった子役とか、堪えられない配役。
いちど見ただけでは不思議感が払拭できず、何度も見るハメになった映画、たとえばM・ナイト・シャマラン監督の「シックス・センス」(99年 米)とかもこのクチ。また、見よう。
「ラスト・ガン 地獄への銃弾」(14年 米)原題 By The Gun
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「ラスト・ガン」の見どころというか、完全にワタシだけの好みなのだろうが、若者と恋人役レイトン・ミースターの出会いのシーンがいい。レイトン・ミースターはほかのいくつかの作品でも見たが、この映画の役が一番カワイイ。
驚いたのがラストシーンで、マフィアのボスを撃ち殺された若者の仇をとったのが、ベンの友人だと思っていたら、うーん。あまりに意外なラスト。ワケを考えていたら、ああ、これは悪の輪廻というか、終わらない物語なんだなと。
2024年1月20日土曜日
ロバの耳通信「ゲーマー」「オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜」
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昔、「セカンドライフ」というネットゲームが流行ったが、無限に増えてゆくアバターたちと意味のない話をしたり、街づくりにも参加したが実生活と同じ平凡の繰り返しに、あっという間に飽きてやめた経験がある。ゲームは普段できないこと例えば、犯罪や人殺しのインモラルができるから面白いのだ。
いまでも時々遊んでいるバイオハザードでは、ゾンビ相手にムチャ振りの戦いを仕掛け、あっけなく死んでリセットしてはまたゲームに参加している。遊んでいて気付くのは、アバターだから死ぬことに怖さはないから、夢中になって主人公と同化してゾンビ殺しに浸る。インモラルにハマってしまい、時間を忘れてしまう楽しさ。ゲームは麻薬。
「オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜」(13年 米)原題:All Is Lost
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大金持ちジジイ風のロバート・レッドフォードは飄々と困難に立ち向かってゆくというと、サバイバル映画らしくないような感じだが、その通り、昔(石原)裕次郎がやった「太平洋ひとりぼっち」(63年 邦画)に近い。
こういう映画は主人公が困難に出会うごとに表情が変わり、極限状態の中で観客に焦燥感や失望を感じさせてくれるから面白いので、金持ちジジイの道楽の失敗程度で終わったりすると、なんだって面白くもなんともない。ハッピーエンドのラストシーンも余計だ。YouTubeの<サバイバル名作集>で見つけた迷作。
2024年1月10日水曜日
ロバの耳通信「空気人形」「許されざる者」
ちゃんと原作もあるらしい(「ゴーダ哲学堂 空気人形」(業田良家 小学館))のだが、映画としてはいいところとあまりわからないところと。ラブドール人形役の韓国女優ペ・ドゥナが微妙にかわいい、板尾創路ほか多彩な配役がそれぞれに個性的、撮影監督(台湾のリー・ピンビン)のおかげで映像がキレイ、なにより原作からもってきたらしい、映画のキャッチフレーズにもなっている“心をもつことは、切ないことでした”とか、人形のしゃべる多くのセリフが象徴的で、賢くわかったフリをしたいのだが、本当のところは難しくてゼンゼンわからない。若い頃、サルトルやカミユをわかったフリをしていつもカバンに入れていた、そんな気分に近い。ゼンゼンわかっちゃいなかったのだ。
監督・脚本・編集の是枝裕和については作品により好みのわかれるところだが、難しい作品をこれだけまとめた力は買ってもいいか。ただ、また見たいと思う映画じゃなかった。
「許されざる者」(13年 邦画)
オープニングの映像や音楽でまずドギモを抜かれた。これ、本当に日本映画かよと。配給はワーナー・ブラザーズだが、監督(李相日)や脚本など製作スタッフこそ日本人は少ないものの、ハンス・ジマーばりの音楽(岩代太郎)や撮影も素晴らしく、ハリウッドの大作にも引けをとるものではなかった。配役も渡辺謙、柄本明、柳楽優弥、佐藤浩市ほか今こういう作品を作るにしてもこれだけのキャスティングはできないだろう。
特に記憶に残ったのは遊女役の小池栄子。ボロ衣装に浅黒い顔から射込んでくる双眸の鋭さ、最近はバラエティなんかにも出て柔和な表情を見せることも多い小池栄子も昔は確かにこういう女優だったと。
「許されざる者」はアメリカのアカデミー作品賞を受けた同名の映画(92年 米 クリント・イーストウッド監督、主演)のリメイクだという。
個人的な意見だが、オリジナルよりこの日本映画のほうが、断然良かった。両方とも見てはいないカミさんに言わせると、そりゃそうでしょうと。観客の自分と映画の距離感が違うと、うーん、確かに。